バカポエム

バカなポエムとバカな自由律俳句とその他色々を発表しています。

イエローサブマリン

いつものように 保健室に行くと いつものベッドで 知らないおじさんが眠っていた おじさんは僕にきかせてくれた 中年が中年を苛める国の話 おじさんが頭からかぶっている毛布は 眩しいくらいに黄ばんでいた だから僕は暗闇に向かって船を漕ぎ出した 卒業の日…

指輪物語

僕の心の中のドワーフが 斧を振り回して暴れている ああ 彼をなだめながら 今日も僕は社長の娘のブスを褒めている

監視者

用を足そうと便器の前に立ち ズボンのファスナーを下げた 潜望鏡がニュッと出てきて 俺の顔を見て引っ込んだ とりあえずファスナーを上げて ひとまず仕事場に戻ることにした あれから小一時間経ち 再び尿意に襲われているのだが 小便の仕方がいっこうに思い…

正義

猥談に夢中になっている間に お土産にもらった高級明太子が 台所のテーブルの上で すっかり傷んでしまっていた そんなものだ 俺の人生なんて 真夜中の神社で 賽銭箱に突入させたカブトムシが マカロンを掴んで戻ってきたのを見て 思わず「罰当たりめ!」とつ…

もみあげに カナブンがたかっている人に 唇を奪われる夢を見て もみあげに カナブンがたかっている人に 唇を奪われた午後 たった一つの予知夢の思い出

冬の朝

まっしろな ぼくのりれきしょが ふゆのひざしに きらめいている かぞくみんなで それをながめている かすかなほほえみ coffeeのかほり

ヒルガオ

庭にヒルガオが咲いていた 男が寝転んでそれを眺めていた 痩せた顔を撫でていた指先に男は いつの間にか長く伸びていた ほくろ毛を見つけた 何気なくそれを引っこ抜いたその瞬間 USBメモリを取り外した時の効果音が 彼の頭の中にデロンと響いた 指先に挟まれ…

茶柱の人

吐血はウソだったけど 血便はマジだったんだぜ そう打ち明けてくれた君の瞳は やさしさとあきらめを見つめていた このごろ毎晩夢で 違うラッコにメガネを砕かれるんだ そう話した君の声は かなしみととまどいに揺れていた 底なし沼に君がはまった時 立ち泳ぎ…

銀色の冬

冬の街の雑踏の中 ううん全然待ってないよ と言いながらも スクラッチくじの銀色が 爪の間にぎっちり詰まっている私を ねえ、ぎゅっと抱きしめて

近所の憧れのお姉さんの髪から漂ってくる 甘いシャンプーの香りが お姉さんの飼っているパグの 肛門からも漂っていた 犬の散歩なんて 軽々しく引き受けるんじゃなかった 頭が 破裂しそうだ

マッチ棒クイズ

突然攻め込んできた宇宙人によって 人類は七日で滅ぼされてしまいました たった一人だけ生き残ったあなたは今 辺境の地の遺跡にいます マッチ棒を一本使って 古代の戦士を目覚めさせてください

海が黙っている日には

海が黙っている日には 窓を開けて手を伸ばし 海をめくる 海をめくった隙間に 捨てられない手紙や 写真を隠しておく 海が饒舌な日には その上を船や魚が通りすぎる ライオネル飛鳥に出そうとしたファンレターや ハルク・ホーガンのコスプレで 女子高の同窓会…

不惑

一度捨てたエロ本を 拾いなおすために 同じ蚊柱に二度突っ込んだ 不惑の春の夜 川の水を吸って少しふやけた 若奥様痴女が カッハカハ咳き込んでいる私を 嘲笑っていた

飼育

熱で学校を休んだ翌日 密かな想いを寄せている 隣の席の女子から借りた 古文のノートの片隅に 肥満児の僕が 鬼みたいな顔のババアに 乳搾りされている パラパラ漫画 川のせせらぎのような 柔らかい文字で筆写された 古い古い詩の 注釈の下に ギザギザしたフ…

断絶

俺の「童貞」に 小蝿がわいている夢を見た × 嫌な汗をかき飛び起きると 股間に違和感がある × おそるおそる目をやると 玉袋に油性ペンで 「さよなら」と書かれていた

悔い

丘の上に立つ 大聖堂の荘厳な鐘の音に 驚いたはずみで 目的と違う卵に ぶっかけてしまったあの日のことを 鮭が悔いている 熊の歯の隙間で

長い春

春が来て 風が吹き あたらしい人々がやってくる 花が咲き 空を隠し あたらしい季節がやってくる 硝子を磨き 光を待っている それはやがて 街角に 駅のホームに 陽に溶けながら 公園の涸れた噴水に 西日の強い私の部屋に 窓を開け 鼻をかむ あたらしい季節が…

朝の決心

今日は職安に行かないのだ 気分が乗らないから 童貞仲間だと思っていたハムスターが最近不穏な動きを見せているから キットカットが上手に割れなかったから 今日は職安に行かないのだ 昨日求人検索用のパソコンに「おっぱい」と打ち込んで虚しくなって思わず…

私の車が水たまりをはねあげた 慌ててバックミラーを覗くと そこに映っていたのは 水をかけられて立ち尽くすおじさん 寂しい頭に 青いカチューシャ たるんだ体に 絵の具で描かれたスクール水着 六月の路地のアスファルト ぽたぽた垂れる紺色のしずく 何も言…

夏の思い出

女装にいそしむ父の横で 鉢の朝顔が みるみる萎んでいった あの夏の夕べを 僕はきっと忘れないだろう

夏が来る

夏が来るらしい 潰れたソープランドの 雨水が溜まった洗面器から、 ヤゴが羽化した。 夏が来るのだ

遺言

ぼくが死んだら ギターと一緒に焼いてください 貴方がぼくに 歌を教えてくれた 白いギターと かぼちゃワインのテーマソング を弾いてくれた あの白いギターと それから灰は 海に撒いてください 貴方がぼくに 小さい頃の話をしてくれた 青い海に ミニ四駆漫画…

短詩集Ⅰ

「自叙伝」 好きなボンド、木工用っしょ? と初対面のホストに 決め付けられた夜のことが 姉の自叙伝の第一章だった 「鼻歌」 機嫌のよい姉が 風呂場に響かせる戸川純 その歌声が今年も 裏の田の牛蛙たちの 性欲を刺激している 「オフィス」 姉の勤める会社は…

守る人

祖父ちゃんがこしらえた スケベくノ一風案山子 右手に持った 段ボール手裏剣が 妹の彼氏の目を突いた 春一番に 飛ばされて

タロット

山からおりてきた 大きなイノシシの牙が わき腹にぶっ刺さっている僕を見て 行きつけのスナックのママは 長い煙草をくゆらせながら <ほら、慌てないの> とタロットを切り始めた <いい女だなァ> と誰かが呟いて <ああ> と誰かがそれに応えて 僕は半笑い…

カムトゥゲザー

あいつは双子の弟で 親でもどちらがどちらかわからない 兄との区別をつけるため あいつの方だけ 山田五郎の髪型にされたんだ ほら見ろよ あいつが怒りの形相でやってくる あいつは放課後に 後輩の女の子に告白されたが あんまり驚きすぎて さっき保健室で入…

助手席から

ああ 穏やかな秋の日だ 柔らかい風が吹く交差点だ 囚人護送車の助手席で サングラスをかけた毛の長い犬が 開いた窓から顔を覗かせて 目の前を過ぎる人々を眺めている ああ 穏やかな秋の日だ

母よ

母よ 僕はきっと忘れない 初夏のある日の昼下がり 林の奥の病院で あなたが 「キン肉バスター!!!」 と叫びながら 弟を産み落としたこと 僕はきっと忘れない

ときめきの放課後

忍術の学校に通っていたとき 放課後誰もいない教室で 好きな女子の鎖かたびらを舐めて 腹を壊したことをふいに思い出した 妹の手裏剣で歯クソをほじっている最中に

春(延々と君は)

春の夜風が窓を鳴らす ひっそりとした部屋だ 二十人は居るというのに ひっそりとした部屋だ 体調の悪いゴリラのごとき踊り なぜ 送別会で延々と君は