午後の陽をたっぷり含んだ
喫茶店のソファの上で
人妻は手紙を書いている
少し尻上がりの小さな文字
去年から旦那に内緒で
SM嬢のアルバイトをしています
最初は慣れないことだらけだったけど
近頃は常連さんもついてくれるようになって
仕事することの喜びを感じています
気がかりなことはそうね
一つだけ
人妻のコーヒーが空になる
ウェイトレスは店の前に寝ころぶ猫を見て
うらやましそうにあくびしている
最近来るお客さんの中に
ケツにムチを入れるたび
肛門からちっちゃいバネが飛び出す人がいて
それ自体は別にいいんですが
(おかしな人なんてごまんと見ています)
ケツにムチを入れるとき ふと
バネが尽きたらこの人バラバラになっちゃうんじゃないか
という思いがふと浮かんで
ついムチが甘くなってしまうんです
人妻のコーヒーが湯気を立てている
猫は向かいの塀を歩く恋人に尾を振り
ウェイトレスはうらやましそうに前髪を直す