時代
我慢していた屁がどこかにふっと消えた瞬間
アパートの廊下の蛍光灯が点いたのを見て以来
自分には何か特別な能力が備わっているのだと
かたくなに信じていた
幼少時代
友達みんなが帰った夕暮の公園で
橙色から菫色に変わっていく空の下
友達みんなで作った男根の雪像の
雄々しいシルエットを眺めていた
少年時代
バンドの練習の帰り道立ち寄った
公衆便所の個室で紙がないことに気づき
どうすべきか迷った挙句
おもむろにアコギをつま弾いた
高校時代
専門学校を辞めて要らなくなって
読まずに捨てた人間関係のハウツー本を
コンビニのバイトが決まった父親が
こっそり拾って持ち帰っていた
今日の我が家
とりとめもないことを思い出している
かびたベッドの上